ユフィ・チェ
2002年のスイス・ローザンヌバレエコンクールで1位をとった彼女も、
いまやロイヤルバレエ団のファーストソリストなのですね。
コンクールのクラシックバリエーションでみせた光り輝くライモンダが今でも忘れられない。
あのバリエーションは出だしの振りをどれだけ軽々と音楽的にやってのけるか、
それでそのあと見るべきかどうか分かると思っているのだが、
ユフィ・チェの出だしはコンクールという場を忘れさせるほど素晴らしかったなぁ。
可憐で、たおやかでそれでいて芯の強いイメージが伝わってきて、
チェの踊りが観客をふわっと包んだようだった。
2012年に同コンクールで1位をとった菅井円加も
クラシックバリエーションはライモンダだったけど、
チェのライモンダが基準になってしまっている私には
どうにも重たくて仰々しいものに見えてしまった。
彼女も1位をとっているだけあって技術的には問題ないかもしれないが
もっと内側からみずみずしい輝きが溢れてくるようなオーラがほしい。
2002年当時の解説者が言っていた、
『ライモンダのバリエーションは魂を与える演技でないと退屈なものになってしまう』ってのは、ほんとその通りだ。
そんなユフィ・チェに踊ってほしい演目は『ジゼル』。
線が細くて身体が弱くて純真で、
アルブレヒトの裏切りに気がふれてしまうっていう設定に説得力があると思うんですよね。
でもいくつかチェの動画を見る限り
感情の振れ幅がそこまで大きくみえないのが残念だったりする。
なのでもうちょい人間のダークサイドまで踏み込んだ表現ができるようになったら、
チェ・ジゼルのなりふり構わない『発狂』シーンをぜひぜひ。
発狂シーン名手のルディエールさん、活動の場は違えど指導をぜひぜひ。
チェの今後に大いに期待。